その他

コンクリートの梵鐘

大東亜戦争中、当山の梵鐘は金属回収令によって国に献納されました。
鐘楼堂は梵鐘が釣ってあることで建物のバランスが保たれます。

そこで同じ重さのコンクリート製の梵鐘を作って代用としました。
コンクリート製ですので撞くことはできませんし、音も出ません。

煩悩を表す突起や願いをこめた文字など、はっきりと残っており、当時の職人さんがどんな思いでここまで丁寧に仕上げてくださったか、察する事ができます。

昭和五十一年に新たに銅製の梵鐘を鋳造して鐘楼堂に吊してから、この梵鐘は役目を終えましたが、戦争を物語る貴重な資料として保存してあります。

向拝の龍

向拝の龍

向拝の龍

龍は雲を呼び雨をふらす事から建物を火災から守るといわれ、古来より仏法護持の神将の一つとして重んじられてきました。

銅で作られた“如意宝珠”が二頭の間、真ん中にあります。この玉は人の願望を意のままに実現してくれる魔法の玉といわれています。

双龍が今にも飛び出してきそうな迫力と力強さがあります。

向拝を支える蓮

向拝を支える蓮

蓮は泥の中から生じ、清浄な美しい花を咲かせる姿が仏の智慧や慈悲の象徴とされています。
極楽浄土では仏さまが蓮の上に生まれかわる事から仏像の台座に蓮の彫刻が使われたりします。

柱の支えのような形で蓮の彫刻があるのは大変珍しく、建築のデザインとしても、とても美しく、斬新です。

向拝の象

向拝の象

王妃マーヤがブッダを身ごもったのは一頭の子象によるといわれています。

つまり仏教の中で、象は天使と同じ祝福の仲介者といえます。
智慧の象徴であり、普賢菩薩は白象に乗っています。

左の写真は口を開けて阿(あ)の形=万物の起源・をあらわしています。
右の写真は口を閉じて吽(ん)の形=一切が帰着する知徳・をあわらしています。

仏教と縁を結んであなたご自身が生まれ変わり賢く生きましょうという意味でしょうか。
また、一説にこれはバクであると言われています。熊の体に象の鼻、犀の目、牛の尾、虎の脚といった想像上の動物です。

鶴と松

鶴と松

よく見るとしっぽのある亀もいます。
いわゆる縁起が良いとされる鶴や松などが丁寧に彫られています。

本堂外面壁の彫刻

本堂外側の彫刻

漆喰の壁に埋まっている彫刻は百年前の建設当初から外壁一面にあります。

何が彫ってあるのかわかりませんが、飾りと同時に耐震になっているとも考えられます。

写真右下に写っている正面の雨戸には“抱き茗荷”の宗紋が彫ってあります。
大改修の際、新しくしないで、そのまま残してもらいました。

鐘楼堂の彫刻

鐘楼堂欄間

東西南北の欄間を2人の彫刻師に競わせて彫ったと言われています。
木々や鳥、鳳凰など細部にわたって丁寧に彫られています。
彫刻師は早瀬長兵衛六代目早瀬長策(名古屋市中区門前町)森丹渓(光次郎)(滋賀県坂田郡醒ヶ井)です。

鐘楼堂の龍

尾垂木鼻に全部で20頭ほどの龍が彫られていますが、よく見ると少しずつ違います。
龍に似た霊獣で、竜、息、蜃 と見られます。
竜:胴長で顔のまわりにヒゲがある
息:竜に似ているが、上唇に鼻孔がある
蜃:竜に似ているが口から気を吐く

鐘楼堂の火を吹く龍

中でも“蜃”は 蜃気楼を生み出す と考えられた霊獣で、蜃気楼とは文字通り、蜃が吐いた気でできた楼(建物)の意です。【蜃は蛇に似ていて大きく、角がある。腰以下の鱗は逆様で、燕を食べ、よく気を吐いて楼台城郭のさまを画き出す】と『本草綱目』に書かれています。大運寺のこの蜃が気を吐いている様子には勢いがあって、鐘楼堂を一段と立派に仕立てています。

鐘楼堂の獅子

仏教で獅子は文殊菩薩の乗り物であったり、獅子吼=釈迦の説法、の意味があったりします。
また、悪魔を圧する霊力がある事から、古くから新年や祭りに獅子舞を踊ります。魔よけや門番として日本の神社仏閣でよく見かけられます。

鐘楼堂の獅子は四隅にあり、それぞれが阿吽の対になっています。阿が雄で舌が見えます。