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当麻曼荼羅

当麻曼荼羅/a>

当麻曼荼羅(拡大)

仏教の理想は流転転生しない世界への到達です。

それを仏教では解脱(げだつ)と呼び、また悟りを開くともいうのです。
悟りを開いて仏陀(ぶっだ)となれば二度と再び輪廻することはなくなるのです。

仏陀とは輪廻しない世界に入った人のことです。そこが涅槃(ねはん)です。

生き物を輪廻の世界に釘付けにする強力な引力は、さまざまな欲望、つまり煩悩(ぼんのう)です。
煩悩をコントロールした人のみが涅槃の世界に到達することができるのです。そこが極楽です。極楽は仏の世界です。

極楽へ生まれ変わる人間は、臨終の際に断末魔の苦しみに襲われることもなければ、冥土の暗い旅路を歩いて行く必要もありません。

臨終にはかえって大きな喜びがおのずからわいてきます。そして極楽からの迎えに手をさしのべると、一瞬にして西方の極楽世界に生まれ変わることができるのです。

生前に善行を積み、清い心を保っていた人々だけが仏さまから招待されるのです。
なぜなら極楽世界は仏さまの世界だからです。

極楽ではすべてが美を極め、妙を尽くしています。鳥の声、木々のざわめき、水のせせらぎ、天人たちのかなでる音楽、そしてつねにみなぎる阿弥陀仏自身の声、これらの音は互いに調和してここちよく真理を告げています。

仏のまわりには多くの菩薩たちがはべっています。

空中に漂い、悟りの楽しみをこころゆくまで味わっている人々もいます。
迦陵頻迦(かりょうびんが)という極楽にだけ棲む美しい鳥が優雅な声で鳴いています。

周りのフィルムのように並んだ絵は浄土三部経の中の『観無量寿経』の絵解きになっています。

-概要

阿闍世という名の太子が悪友の提婆達多にそそのかされて、父の頻婆娑羅王を幽閉し餓死させようとした「王舎城の悲劇」を導入部として、王の后である韋提希(いだいけ)夫人の願いにより釈迦が極楽世界や阿弥陀仏、観音、勢至の二菩薩を観想する13の観法を説く。

そして、極楽世界に往生する者を「上品上生」から「下品下生」まで九品に分類し、最後に釈迦が阿難に向かって「無量寿仏の名号を、常に心にとどめ続けよ」と説く。





























 

残念ながら極楽からのお迎えがなかった場合、人は断末魔の苦しみを味わい、そして「※”冥途”の旅」が始まります。ざっと49日の旅です。最初に登る「死出の山」は長さが800里(約3200㎞)。真っ暗な中を7日間歩き続けます。どんなにお金持ちだった人も食べ物はお香だけです。

※”冥途”とは最終の地が決まるまでの通過点です。その世界は現世と来世の中間にあって現世の陽に対して陰の世界なので仏教では&deco(red){中陰};といいます。

賽の河原 (さいのかわら)

大勢の子供が石を積んでいます。遊んでいるのではありません。一生懸命に塔をつくって布施をおこなっているのです。布施は仏教ではだいじな修行の一つです。造寺起塔といって仏法興隆のためお寺をつくったり、塔を建てたりするのが布施です。お金を寄進すればいいというものではありません。布施の意味を理解して真心がこもっている事が大切です。
子どもたちは生前に布施行をするに至るまでの時間がなかったので、河原の小石を積んで五重塔や三重塔を作ろうと真似てみてもぐらぐらなので鬼がきてあっというまに壊してしまうのです。

そして、いよいよ三途の川をわたります。三途の川は一度渡ったら二度と戻れない川です。渡る方法は三つ(三途)①通行券を持って橋を渡る(有橋渡)②歩いて浅瀬を渡る (山水瀬)③歩いて濁流を渡る(江深淵)

選ぶ権利はなく、前世の行いによって決められます。

初七日(しょなのか)
-裁判官 秦広王(しんこうおう)
-本地仏 不動明王死出の山を越えたあたり(7日目)で最初の裁判が行われます。書類審査です。
娑婆の法ではなく「因果応報」という基準でなされます。
パスポートの行き先はまだ空欄です。7回の審査のあとに決まるのです。第一回目の裁判官は秦広王(しんこうおう)といい、本地仏(仏道のお姿)は不動明王です。

衣領樹(えりょうじゅ)・懸衣嫗(奪衣婆)

三途の川を渡り切ると懸衣翁(けんねおう)と懸衣嫗(けんねう)が死者を待ち受けています。
懸衣嫗は奪衣婆(だつえば)ともいわれ、冥途の旅人から衣服をはぎとってそれを衣領樹の枝にかけます。
この木は衣の持ち主が生前犯した罪の軽重によって、枝がしなう特殊な植物なのです。

二七日 (ふたなのか)

-裁判官 初江王 (しょこうおう)
-本地仏 釈迦如来

無益に生物の生命を奪った罪(殺生)の行為について裁かれます。
秦広王の裁きの内容や衣領樹の枝のしなりぐあいで裁かれます。

刑の執行人たちは鉄の斧やのこぎりで罪人の体を切断しますが、一陣の涼風によってまた元の姿にもどります。そして再び体が切り刻まれて同じ苦しみをいつまでも味わう事になるのです。
おなかがすいてもご飯に火がついて食べる事ができない世界=餓鬼道に落ちた罪人の姿もみられます。欲が深かった人とおもわれます。

三七日 (みなのか)

-裁判官 宗帝王 (そうていおう)
-本地仏 文殊菩薩

ここでは邪淫(じゃいん)の罪が裁かれます。宗帝王は「汝、邪淫の罪を犯したことありや否や」と問います。いい加減な返答をしていると、男性ならネコが男性自身に噛みつき、女性ならヘビが下半身の一点から入り込みます。
激しい熱風から逃れようとしても鬼が監視していて逃れる事ができません。

四七日 (よなのか)

-裁判官 五官王 (ごかんおう)
-本地仏 普賢菩薩

ここでは言動(げんどう)における悪が裁かれます。
死者は言動における悪を一瞬にして量る魔法の秤(はかり)にいやおうなく乗せられ、来世の行き先が即座に表示されます。

煮えたぎる熱湯で釜茹でされたり、重い大きな石を背負わせられ続けたり、頭をすりつぶされて粉々にされたりして苦しくても泣き叫ぶ事もできません

五七日 (いつなのか)

-裁判官 閻魔王 (えんまおう)
-本地仏 地蔵菩薩

閻魔王は「浄波璃(じょうはり)」という水晶できた不思議な鏡を使い、生前の悪行をすべて映し出して裁きます。

他の裁判官が中国出身のところ閻魔王だけはインド出身です。天上界に住んでいたのですが天上界に罪人が増えた為、地獄界で裁判をしているうちに天界の王である事を忘れ去られてしまったといわれています。

六七日 (むなのか)

-裁判官 変成王 (へんじょうおう)
-本地仏 弥勒菩薩

秤を使った五官王の裁きと浄波璃の鏡を使って裁いた閻魔王の報告に基づいて、さらに深く審議が行われます。

地獄の代表ともいえる「血の海」があります。罪人を切り刻んだ時の大量の血はべとべととしてなんともきみの悪いものです。

七七日 (なななのか)

-裁判官 泰山王 (たいせんおう)
-本地仏 薬師如来

最終の判決が下されます。
泰山王は死者に対して六つの鳥居を指し示されます。死者はどれか一つを選ばなければならずそこが輪廻先(天道 人道 修羅道 畜生道 餓鬼道 地獄道)となるのです。

嘘をついて舌を抜かれている罪人がいます。樹上の美女の誘惑につられて木に登ると幹の針が体を突き刺し、カミソリの葉が肉や内臓までをもズタズタに切り裂いてしまいます。
しかし根から淫乱な罪人はやめる事ができません。牛頭(おず)馬頭(めず)がいつも徘徊していて罪人を見つけようとしています。

ここで来世が決まり、中陰の状態が終わるので&deco(red){満中陰};と呼ぶのです。
さて来世がきまったにもかかわらず、百か日法要、一周忌法要、三回忌法要・・・・五十回忌法要をするのは&deco(red){追善供養};です。

法要はその功徳を亡き人に差し向けてやがては悟りの境涯に至らしめるために修行する事です。

しかしその徳の七分の六は回り回って自分のところにやってくる、と経典にはっきりと書いてあります。
七分獲一(しちぶかくいち)

百か日(百日目)

-裁判官  平等王
-本地仏  観世音菩薩

約百日で死者のために泣くのを終えることから百か日の事を『卒哭忌』ともいいます。
生前に悪事を果たした亡者が火の車に乗せられて責め立てられて運ばれてきて、そこで動物に体を八つ裂きにされています。

一周忌(一年目)

-裁判官  都市王
-本地仏  勢至菩薩

ちょうど1年たった日を祥月命日(しょうつきめいにち)といいます。
以後毎年、祥月命日がやってきます。まだ故人の行き先が決まってない、などという事はない、と思いますが・・・・こんな地獄を目の当たりにしたら心配にもなります。
溶けた銅を口から流し込まれたり、川原で魚を焼くように焼かれている罪人もいます。少しでも罪が軽くなるように、できるだけ多くの家族が集まってお経をあげて故人の功徳を積んであげましょう。いや功徳を積ませいただきましょう。

三回忌(三年目)

-裁判官  転輪王
-本地仏  阿弥陀如来

百か日、一周忌、三回忌は儒教の「礼記」に由来します。ここまでの十回の法要で裁判官であった十王全員が出そろいました。

この地獄ではあちこちで四六時中ケンカ騒ぎがおこっています。それも必ず殺人に至る大ゲンカです。もともと殺生などの罪を犯した罪人なので、むんむんとする暑さの地獄では殺伐としています。

地獄では、罪人は何度死んでも再びよみがえって苦しみを何億兆年も重ねなければなりません。地獄の刑期は一番軽い等活地獄でさえ1兆6200億年とされ、ランクが下がるごとに、その10倍、100倍・・・と決まっているのです。けっして安楽死は許されないのです。地獄の案内はいかがでしたか?最終決定すれば来世への6つの鳥居のどれかをくぐる  事になります。これが輪廻転生です。興味のある方は“ひろさちや”さんの『死後の世界の観光案内』をお薦め致します。
最初に戻って、断末魔の苦しみもない特別快速コースがあるという事、覚えておきましょう。


一口に地獄といっても、罪の重さによって8つの段階があります。その名称は罪の軽い方から順に、””等活(とうかつ)地獄、黒縄(こくじょう)地獄、衆合(しゅうごう)地獄、叫喚(きょうかん)地獄、大叫喚地獄、焦熱(しょうねつ)地獄、大焦熱地獄、阿鼻(あび)地獄””です。阿鼻地獄の底こそがいわゆる奈落の底というわけです。

牢屋から連れ出された罪人たちは裁判官にどこ行きを告げられるのでしょうか。